春って異質
この時期になると毎回同じようなこと思ってるけど、春に向かっていく頃って大気が濃いよなぁ。
それぞれの季節にはそれぞれの空気感や質感というものがあると感じているけど、
春になりきる前、というタイミングは毎年不思議な感覚を得る。
一年で一番、濃い味だと思う。
日本は年度の切り替わりが春だから色んな感情が引き出されやすいというのもあるけど、
もっと生物的な、本能的な部分で、というか。
なんていうか、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の切なさがあって、そのどれも美しいなぁと思うけど
春って加えてどこかにグロテスクさがある。
ドロドロのさなぎの中みたいな。内臓みたいな。
生物ってどれも奇跡でしかないけど、同時に気持ち悪いと感じることがある。
そしてその美しい奇跡とグロテスクさは表裏というより、ないまぜになっているものだとも思う。
まだ寒い日々の中に暖かい風が勢いよく吹きこんでくる。
言葉のとおり、春は「訪れ」てくる。
優しくもなく、穏やかでもなく、ただ力強く暖かい風が吹く。