テラサーガ Ⅱ
皆さまお待ちかね、テラサーガの第二話です。
前回はおばあちゃんがキーパーソンでした。
今回も長い長い、家族、そしてロリテラのお話です。
色んな伏線やエッセンスが、ばらまかれる頃でした。
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私は、バリ島で生まれた。
父がバリの人で、日本人の母が30歳のときに生んだ子だ。
私が生まれて間もなく、二人は離婚して、母は日本の実家に帰ってきた。
そこから、
私と、母と、叔母と、おばあちゃんとおじいちゃんの、五人家族での生活が始まった。
母子家庭というと可哀想がられることがあるが、
こんな風に母以外の家族がいた期間が長かったこと、
父親の記憶がそもそも無いことから、
母と子二人きりという寂しさを感じたことは、あまりなかった。
そして、この家族。
かなりユニークだったと思う。
おじいちゃんとおばあちゃんは、おじいちゃんがアル中で暴れることがあること以外は、まぁ、「フツーの人」であった。
問題は、母と、叔母。
母も叔母も、当時スピリチュアルの走りというか、ニューエイジなものにかなり傾倒している人間だった。
叔母は、まだ日本でスピリチュアルというものが出始めの、黎明期に、それを仕事にしていた人間だった。
ヒーラーだか、カウンセラーだか。
当時はけっこうな売れっ子だったようだ。
私が物心ついた頃には、いつもセッションや講義やリトリートなど、仕事で忙しくしていた。
そして、そんな叔母の部屋には、綺麗なクリスタルや、不思議な本、何に使うか分からない道具らしきもの、ヒーリングミュージックなるものが流れていたり…ナドナド、普段目にしない、目新しい世界観のものがたくさんあったので、よく遊びにいった。
それらが何なのかはよく分からないけど、心地よかったし、面白く感じた。興味をそそられた。
母は母で、ほぼ仕事はしておらず、いつも色んな本を熱心に読んでいたし、何かを探求していた。
世間の常識やしきたりに、猛烈に反発している人だった。
そんな、世間の常識からずれちゃっている、しかも強烈に、な人間がごく近くに二人もいたもんだから、当然のごとく私も影響を受けた。
まず、常識を疑う感覚が生まれた。
自分の現状の信念を、柔軟に変えていくセンスもあったし、無限に夢を見られたので、私の世界観はだんだん浮世離れしていった。
天使とか魔法とか、目に見えない超常的な力に強く憧れだした。
小学校に上がるまでは、そんな最高に夢見がちな私も、とっても楽しく過ごせていた。
家族も、大声で怒鳴りあう喧嘩もあったけど、私は大好きな母と仲良しだったし、特に問題はなかった。
母はいつも私に、テラは天才だと言って誉めて可愛がってくれたし、大好きだといつも言ってくれていたし、
そして私自身、自分の素晴らしさや、力を信じて疑わなかったし、
生まれながらの姫気質も相まって、とにかくモテモテだったらしい。
(らしい、というのは大きくなって周りから聞いたことだったので。)
最近、ふとこの幼少期のことを思い出すことが増えたのだが、
あの時にすでに私は「メス」だったとおもう。
センシュアルな感覚を理解したし、エロへの探求心もはんぱなかったし、
何より、
「オトコは、私が強く思いさえすれば何とでもなる」
みたいなことを思って生きていたし、実際にそうだったのだ。自分は、本気で魔法を使えると思っていた。
テラ…恐ろしい子!!!
ところが、小学校に上がったあとは、だんだん、その魔法の世界が薄らぎ、
「常識」とか「社会通念」というものを吸収していくのである。
この頃から母は、だんだん無条件に私を可愛がらなくなってきた。
勉強が出来ること、「頭が良い」状態を強く求めるようになってきた。
で、もともと思考力が備わっていたタイプだったので、特に頑張らなくても、小学校の半ばくらいまでは当たり前に、クラスで一番の優等生だった。
わがままで、目立ちたがりで、利発だった。
唯一、スポーツが苦手だった私は、そこで初めて「劣等感」を感じるようになったと思う。
学年が上がってくると、だんだんと、「努力」で色んな才能を発揮する子が出てきた。
私は、それまでは特に頑張らなくても、わりとまんべんなくできてしまうタイプだったので、「努力」とか「我慢」が非常にストレスで、ふんばりがきかなかった。
「苦しいのを我慢してまで、何かを出来るようにするなんて、やってらんない」とばかりに。
ウサギと亀の、ウサギが寝に入るところだ。
そうすると、勉強も私よりできる子が出てきたりして、母には猛烈に怒られ否定される。
しかも、私が良かれと思ってしたことが、相手には余計なお世話だったり、傲慢に映ったりしたようで、何となくクラスから浮きはじめる。
非常に上から目線ではあるが、この時は、「できない人の気持ち」が全く分からなかったのである。
それに、謎の正義感を振りかざしまくっていた。
友達がいなかったわけではないけど、どこか距離をとられ、浮いていた。
そんなこんなで無条件の自信が無くなってきた私は、高学年になると、自分の世界にこもりがちになり、オタクになった。
ちょうど、ハリーポッターが大ブームの頃で、魔法の世界への憧れが猛烈に復活したのもこの頃だ。
例に漏れず、私もドはまりした。
まぁ、傷ついた私の現実逃避には、もってこいであった。
この頃、私が思い込んだ恐怖は、
「人より目立ったり違ったり有能だと、嫌われる」
人と違う価値観を持っていたら、隠しながら、バレそうになったら否定しなければ、人と仲良くなれない。と思ってしまった。
ああ、何てもったいない。と、今なら思うし、隠せてるわけないじゃん。とも思うのですが。
まぁ、必要な流れでしたね。
そこから中学校に上がるまでは、オタクとしては楽しい期間を過ごした。
しかし、母親との関係性が猛烈に悪化して、毎日怒鳴られるわ、生まれてこなきゃよかったと言われるわで、家が安心の場所では無くなり、しんどくなってくる。
続きます。