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映画インターステラーについて その2

総論みたいなものは言い切ってすっきりしたので、物語の部分以外の感想文を。




とにかく、音楽がとてもよかった。

特にメインテーマが印象的で、ある種の悲壮感がある。
どのメロディも重厚でドラマチックだが、本当に効果的なところで流されるので、より物語に引き込まれる。

演技やストーリーの薄さを過剰な音楽で誤魔化すような安っぽい演出、などということはなかった。
それはもちろん、役者さんや脚本が優れており土台がしっかりしているからこその相乗効果であろう。


役者さんといえば、主人公クーパー役のマシューマコノヒー。
初見のときは、変にギラギラした感じに映り、ちょっとラリっているみたいで怖く感じた…(笑)。
途中からその違和感は消えるのだが、やたら目が据わっているというか。
独特の強さも感じるが、スタンガンか何かで気絶させられ目覚めた後の尋問シーンなんかは、完全にきまってました。

少女時代のマーフ役の女の子は、気が強く聡明ながらも幼い雰囲気が残っていて、可愛かった(*^_^*)
あんなにキュートなおりこうさんなら、そりゃクーパーも親バカにもなるし地球ごと救いたくなっちゃうだろうな、といったところ。

しかし、お兄さん(名前すら思い出せない)に関しては、親子の絆や愛情が描かれるシーンもあるけど、あまりにも父クーパーと妹マーフの絆の方がフィーチャーされているから、同じ親の子であるのに少し可愛そうに思ってしまった…(笑)

まぁ、彼にしかない、物語を担う大事ないち装置としての役割があるのだな。
そして、父親と息子、父親と娘のそれぞれの絆の形があって、その描かれ方に、典型とも言えるような普遍的なものを感じた。


ブランド博士役のアンハサウェイは、プリプリの可愛らしいイメージが強かったので、ベリーショートで知的な役というのは はじめ?と思ったが、映画を見たら、納得であった。
理論の先に、「愛」を直感した女性科学者。その役にぴったりの強さと知性と若さを感じた。


それからマン博士。彼のファーストネームは劇中では出てこないが、Hughと言うらしい。Hugh Mannである。人類の種の保存に盲進した彼の名がヒューマンというのが何とも…。
カメオ出演扱いのマットデイモンも、名の始めと最後を合わせてもマン、だなぁとオヤジギャグレベルのこともただの偶然ではあるまいと勘ぐってしまうのである。

残念ではあったが、ドイル役の黒人さんも、少ないセリフから温厚さが伝わる雰囲気で、好きになった。

総じて、それぞれの役者さんの演技が良く、良い味を出していた。

人間のキャラクターではないが、スーパーAI?のTARSやCASEの魅力も素晴らしかった。

2001年宇宙の旅の、モノリスのようでもありHALのようでもあり。しかし、海軍仕込み風の陽気なジョークを言ったり、トランスフォームして独特な鋭敏か動きを見せたりと、一見無機質だが、非常にハートウォーミングなやつである。
そしてこの映画の微少で希少な笑いの部分を、人ではなくこのロボットであるTARSが一手に担っていたと言っても過言ではない。

なので、映画を見終えた頃には、うっかり一番好きなキャラクターになっちゃったりする。
そしてきっと、クールなCASE派かお茶目なTARS派か別れるところであろう。
私はもちろん、ベタだがTARS萌えである。
TARSにお姫さま抱っこされたい。

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今までのクリストファーノーラン監督の映画は、嫌いではないが、堅く重いイメージがある。
ダークナイトなんかは正直、私には暗すぎた。

しかしその堅さが今回、作品のテーマや舞台と、非常に絶妙なハーモーニーを奏でたと思う。
そして作品全体の重さに比例して見終えた時の、超特大のカタルシスを生む。


何度見てもきっと気づくことがたくさんあるだろう。

またその時には追記していこうと思う。